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OTEMON View 追手門学院大学 ニュースの面白さは、見方次第 ー独自視点の厳選コンテンツー Presented by 追手門学院大学 検索: 社会とくらし グローバル スポーツと文化 こころとからだ IT・メディア 地域・観光 OTEMON VIEWについて サイトポリシー 追手門学院大学HPへ 取材などのお問い合わせ FOLLOW US 検索: 追手門学院大学HPへ HOME > 地域・観光 > 【前編】なぜ世界遺産なのか?「モノ」から「人が暮らす空間」へ。より「重層的」な価値へと拡張する世界遺産を問う。 2021.06.30 OTEMON VIEW編集部 地域・観光 【前編】なぜ世界遺産なのか?「モノ」から「人が暮らす空間」へ。より「重層的」な価値へと拡張する世界遺産を問う。 井上 典子 (いのうえ のりこ) 追手門学院大学 地域創造学部 地域創造学科 教授 Ph D.専門:地域政策(景観保全、文化資源、イタリア) ユネスコ 世界文化遺産 世界遺産 価値 単層的 文化的景観 文化遺産 重層的 (出典:snapmart) 「世界遺産」と聞くと、何をイメージするでしょうか?一般には、イタリアの古代ローマ遺跡、中国の万里の長城、日本の金閣寺など、世界の国々を代表する超有名観光地が思い浮かぶのではないでしょうか?世界遺産は人類共通の世界的な遺産と言われながら、我々にとって身近な存在であり、また重要な観光地でもあるのです。  折しも国内では今年の5月に「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(奄美・沖縄)」が世界自然遺産に、「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産にそれぞれ登録される見通しになったことが報道され、世界遺産への関心も高まっています。  今回は、世界遺産をテーマに、特に文化遺産が持つ重層的な特徴と多面的な役割について、地域創造学部の井上典子教授と吉田佳世講師との対談を通じて考えていきたいと思います。では、世界遺産の「知られざる魅力を探る旅」をナビゲートします。 INDEX世界遺産と定義未来に託すべき遺産文化遺産とは何か増加し続ける世界遺産単層的な価値から重層的な価値へと拡張する世界遺産世界文化遺産は変わらない「モノ」なのか再評価される「文化的景観」増え続ける「世界遺産」の先まとめ 世界遺産と定義 (世界遺産登録の見通しとなる奄美大島のイメージ出典:のんびり奄美https://www.amami-tourism.org/experience/%e3%82%b7%e3%83%9e%e3%82%81%e3%81%90%e3%82%8a%e3%81%ae%e6%97%85%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%83%89/ 未来に託すべき遺産 (編集部)文化庁の公式ホームページなどによると、1972年の第17回ユネスコ総会において、「文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として保護するため、国際的な協力・援助の体制を確立すること」を目的として、世界遺産条約(正式名称:世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(Convention Concerning the Protection of the World Cultural and Natural Heritage))が採択されました。その中で世界遺産は、社会の経済的な変化に伴い遺産の破壊が深刻化する中、人類全体のための世界の遺産として保存する必要があるものとしての要件を満たす対象を「国内的保護を補完する形で世界遺産の制度を条約として採択」(引用:西村2004)し、保護するとしました。  2019年7月時点で1,121件の世界遺産が記載されており、このなかに日本の世界遺産も23件登録されているようです。メディアなどでは「人類共通の遺産」と表現されるのを見かけますが。 出典:「世界遺産に関する基礎データ集」令和2年3月 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/isanbukai/sekaiisanbukai_nittei/4_02/pdf/92581401_11.pdf 出典:文化庁ホームページ https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/sekai_isan/index.html 引用:西村幸夫(2004)『都市保全計画』東京大学出版会 (吉田先生)世界遺産検定のテキストなどでも「人類共通の」という表現を見たことがあります。「人類共通」という言葉は、今現代に生きている人々の「国や所属を超える」ものという意味もあると思いますが、私が思うに、「世代を超える」というニュアンスも含まれているのではないでしょうか。次の世代の人々に向けてもこの遺産を残していく、ということです。だからこそ世界遺産は、私たちの世代だけでなく次の世代にも、何らかの意味を持つものだろうと私は考えています。 文化遺産とは何か (編集部)世界遺産条約は、世界遺産を文化遺産(Cultural Heritage)、自然遺産(Natural Heritage)の二つにわけています。このうち文化遺産は、記念物(Monuments)、建造物群(Groups of buildings)、遺跡(Sites)で、これに「自然と人間との共同作品combined works of nature and man」としての文化的景観(Cultural landscape)が加わりました。イタリアのワイン畑や日本では紀伊山の参詣道などがこのカテゴリーで登録されています。近年では、産業遺産(Industrial heritage)やモダニズム建築(Modern architecture)も注目されるようになっています。また、これらとは別に、無形文化遺産保護条約を通じて無形遺産(Intangible heritage)も保護対象になりました。 増加し続ける世界遺産 (編集部)1978年の第2回世界遺産委員会において世界で初めて、エクアドルのガラパゴス諸島や西ドイツのアーヘン大聖堂など、自然遺産4件、文化遺産8件の計12件が、世界遺産に登録されました。翌年には45件が登録され、以降も世界遺産の数は増加し続けています。なかでも中国とイタリアの登録数が55件と、世界で最も多いようです。 出典:「世界遺産に関する基礎データ集」令和2年3月 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/isanbukai/sekaiisanbukai_nittei/4_02/pdf/92581401_11.pdf (編集部)文化庁の資料によれば、世界遺産の登録には、政府や国際機関によるいくつもの手続きや調査が必要です。まず、政府により世界遺産登録を目指す世界遺産暫定リストを作成し、ユネスコ世界遺産センターに提出します。各国政府からの推薦書を受理したユネスコは、物件の現地調査を専門機関へ依頼。諮問機関は現地調査に基づき評価結果をユネスコに報告します。そして世界遺産委員会にて審査を経て、通過すれば晴れて世界遺産として登録されます。 5月にニュースになった「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(奄美・沖縄)」と「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録に向けた動きは、こうした一連の手続きの中で諮問機関が「登録することがふさわしい」とする勧告をまとめたことを受けたものです。 単層的な価値から重層的な価値へと拡張する世界遺産 (出典:ヴェネツィアのカナル・グランデ https://publicdomainq.net/venice-canal-0019416/) 世界文化遺産は変わらない「モノ」なのか (編集部)増え続ける世界遺産をどのように見ていますか? (井上先生)私は以前、イタリアのヴェネツィアに暮らしていたことがあります。船と水路を軸とする独特の暮らしは貴重な体験で、水道水が飲めないので1リットルサイズの水を購入して12本運ぶのですが、それが階段状の橋だらけで大変なんです。夏には、教会や広場が解放されて、コンサートや映画を楽しめました。なつかしいですね。私が間借りしていた家の2階下に、年老いた「先生」が一人で暮らしておられました。確か、息子さんは舞台俳優だったと思います。この先生は、カナル・グランデが見える素晴らしい居間で、いつも正装して一人で食事をされていました。食事はお手伝いさんが作るのですが、私はそのお手伝いさんと台所で話をしながら銀食器の掃除の仕方などを聞きました。昔のことですが、現在はこうした生粋のヴェネツィアの生活者を見かけることは少なくなったと友人は言います。というのは、世界中から観光客が押し寄せる一方、もともとの住民は暮らしやすい近郊の都市に生活拠点を移すことが増えたと考えられるためです。1987年に世界遺産となることで、「ヴェネツィア」という街の価値はたかまったのだろうと思いますが、同時に、マスツーリズムにより様々な問題も引き起こされました。  私は京都の出身ですが、日本の京都においても同様の現象が起きていると言えるのではないでしょうか。「京都の人々の普通の暮らし」というのは、なかなか感じることができません。暮らしは変化していくのが当たり前だと思いますが、その変化が、作られた京都のイメージや観光客のための物語を通じて引き起こされるというのはどうなのでしょう。建物が京都のイメージを表すものとして観賞され、イメージは消費されていく。京都ではもちろん、イタリアのように市街地が世界遺産になっているわけではありませんが、多くの世界文化遺産の中で営まれる暮らしも、実際には変化し続けているのです。 (編集部)登録される世界文化遺産も以前とはずいぶんと変わってきたように思います。 (井上先生)冒頭に挙がった日本の姫路城など、初期からの世界遺産に見られるいわゆる「建造物」としての「モノ」はもちろん素晴らしい価値を持つのだと思います。そして今はこのような「単層的」なものばかりではなく、文化的景観(Cultural landscape)の導入以来、「重層的」ともいえる世界文化遺産が増えているのではないでしょうか。その背景には、無形文化遺産や文化的多様性に対する視野の広がりが見て取れます。 再評価される「文化的景観」 (出典:Assisi ~中世の街並みに残る巡礼地アッシジ~ https://aoiuminidakarete.com/2014/10/09/post-9192/?unapproved=3459&moderation-hash=e1f8deca4012c685b4dff5e364917181#comment-3459) (編集部)先生の研究領域の一つにイタリアがありますが、「重層的」な価値が認められた事例はどういったものでしょうか。 (井上先生)イタリア中部に位置する「アッシジ」は、フランチェスコ会を創設した聖フランチェスコの出身地として知られ、キリスト教の巡礼地として多くの人々が訪れる世界遺産の町です。当時の有名画家たちによるフレスコ画で装飾されたサンフランチェスコ聖堂があり、それだけでも世界遺産としての価値があると評価されるでしょう。私がイタリア時代に師事したパラオ・ファリーニ教授は、町の周辺に広がるオリーブ畑や農地にも着目して資料を遡り、そこで営まれてきた農業や土地利用も含めた文化的景観(Cultural landscape)を世界文化遺産として評価しました。世界中から観光客が訪れるアッシジという現代の市街地と工場地を含めた周辺のオリーブ畑、すなわち今日的な都市と農村の関係一体的な景観として捉えた点にこのプロジェクトの新規性があり、オリーブ畑を維持しているのが地域の人々であることを考えると、いわゆる歴史的な「モノ」に優位性を置く文化遺産議論の中で、文化的景観のアプローチはもっと再評価されてよいものだと思います。 ※パオラ・E・ファリーニ:イタリアの都市計画家、都市研究者。建築家。ローマ大学建築学部地域都市計画学科教授。研究者の傍らイタリア各地の法定都市計画策定に関わる。 専門の研究分野はイタリア各地や世界各地の歴史的市街地の修復と評価に関する研究と教育指導で多くの研究発表と教育、指導を行う。 ただ、文化的景観は限定的な「モノ」だけを対象にしていないだけに、今はもう見えない何かや、地域で語られてきた伝承などを含めながら、一つの景観を「物語」として提示するという傾向があります。これが、新しい景観認識を生み出し、人々のイメージに答え、観光を推進しようとする行政の思惑や地域の人々の反応によって、世界遺産の評価に従う新しい景観を再生産するという状況が生まれています。 増え続ける「世界遺産」の先 (編集部)世界文化遺産の対象が「重層的」価値に移行していくとまだまだ世界遺産は増えていきそうですね。 (井上先生)文化的景観などあらゆる文化的アプローチを含めていくと、世界遺産だらけになりそうですよね。だから、私は、世界文化遺産は、それを新たな地域産業の構築や地域景観(環境)の見直し、地域振興などのために活用する方法の一つだと捉えればよいのではないかと考えているんです。 (吉田先生)授業の中で学生から「世界遺産が増え続けると、その価値が薄まりませんか?」という質問を受けることがあります。今の世界遺産の登録状況を見ていると、こと文化遺産についていえば有形・無形を問わず様々なモノやコトに文化的な価値を積極的に見出し、いわば雑食的にどんどん取り込んでいるようにも見えます。世界文化遺産の対象が無限に広がっていくと、そもそも世界文化遺産とは何かというある種の「矛盾」のようなものも今後は増えていくのではないでしょうか。 <後編の記事>日本における世界文化遺産を例に、世界遺産に込められた多面的側面をさらに解き明かす! 【後編】なぜ世界遺産なのか?「創られた!?」世界遺産の多面的側面を考える。 まとめ 法隆寺や姫路城など分かりやすい「モノ」から、文化的景観などの人々の暮らしや生業にまで広がり続ける世界文化遺産。文化遺産のとらえ方が拡大している現状を確認しました。 後編では日本における世界文化遺産を例に、世界遺産に込められた多面的側面をさらに解き明かしていきます。 この記事をシェアする! プロフィール 井上 典子 (いのうえ のりこ) 追手門学院大学 地域創造学部 地域創造学科 教授 Ph D.専門:地域政策(景観保全、文化資源、イタリア) 大阪市立大学 生活科学研究科 博士課程単位取得満期退学ローマ大学ラ・サピエンツァにおいて、都市・地域計画分野のPhD. 文化庁文化財部記念物課文化財調査官として文化的景観保護制度における制度設計に関わるとともに、全国の文化的景観保存調査を担当 主な著書に、井上典子(2021)『イタリア現代都市政策論 都市‐農村関係の再編』ナカニシヤ出版, Inoue, N. , Orioli, V. (eds.)(2020). Bologna and Kanazawa: Protection and valorization of two historic cities、Bononia University Press(ボローニャ大学出版会) 【共著】吉田 佳世(プロフィールの詳細は後編の記事をご覧ください) 研究略歴・著書・論文等詳しくはこちら 取材などのお問い合わせ先 追手門学院 広報課電話:072-641-9590メール:[email protected] 追手門学院大学HPへ HOME > 地域・観光 > 【前編】なぜ世界遺産なのか?「モノ」から「人が暮らす空間」へ。より「重層的」な価値へと拡張する世界遺産を問う。 関連記事こちらの記事もおすすめです! 2024.03.12 地域・観光 北陸新幹線延伸に湧く敦賀。歴史地理学者がよみとく水陸交通の時代的変遷 OTEMON VIEW編集部 南出 眞助 2024.01.31 スポーツと文化 大改造の街パリ、オリンピックで「花の都」は「木の都」へ OTEMON VIEW編集部 文学部 青島 啓太 2023.09.07 地域・観光 ポストコロナの旅は「持続可能」な観光へ!サステナブルツーリズム最前線 OTEMON VIEW編集部 地域創造学部 岡田 美奈子 2023.05.12 地域・観光 もはや地域のプロデューサー。高まる地方公務員への期待。 OTEMON VIEW編集部 地域創造学部 藤原 直樹 2023.03.29 地域・観光 保存か展示か活用か。コロナ禍、電力高騰が突きつける博物館の未来 OTEMON VIEW編集部 心理学部 瀧端 真理子 人気の記事よく読まれている記事! 1 2021.09.02 地域・観光 死海文書とは何か。日本語訳プロジェクトに携わる研究者が明かす、その全貌92075Views OTEMON VIEW編集部 基盤教育機構 加藤 哲平 2 2022.10.07 社会とくらし 男女平等ランキングはなぜ低い?日本のジェンダーギャップ解消に求められる家族観・政策の視点60615Views OTEMON VIEW編集部 法学部(2023年4月開設) 三成 美保 3 2021.03.05 社会とくらし 「半沢直樹」になれない現代人へ。「感情資本」は社会を生き抜くヒント。感情のコントロールとは。33475Views OTEMON VIEW編集部 社会学部 山田 陽子 4 2020.08.24 こころとからだ すぐそばにある薬害問題。「薬害根絶デー」に考える薬害被害について28415Views OTEMON VIEW編集部 社会学部 蘭 由岐子 5 2020.08.03 こころとからだ 「シン・エヴァンゲリオン劇場版」公開へ。精神科医研究者が考察!エヴァは悩める若者の象徴か!?24687Views OTEMON VIEW編集部 心理学部 溝部 宏二 6 2022.12.20 社会とくらし 元マルサの指揮官が語る「国税専門官」の仕事とキャリアパスのリアル。23704Views OTEMON VIEW編集部 経営学部 百嶋 計 7 2021.06.30 地域・観光 【前編】なぜ世界遺産なのか?「モノ」から「人が暮らす空間」へ。より「重層的」な価値へと拡張する世界遺産を問う。20181Views OTEMON VIEW編集部 地域創造学部 井上 典子 8 2022.05.26 IT・メディア フェイクニュース、デマツイート。止まらない拡散。その正体に迫る。20000Views OTEMON VIEW編集部 心理学部 増井 啓太 9 2021.04.02 社会とくらし 「大学広報」がNHKドラマ化。「ほぼ神崎真」が見た「大学広報」とは。19431Views OTEMON VIEW編集部 広報課 谷ノ内 識 10 2022.07.06 こころとからだ 「なつかしさ」はビタースイート。記憶心理学者とたどるメカニズムと心理的効果19107Views OTEMON VIEW編集部 心理学部 川口 潤 人気記事をもっと見る この記事をシェア! メディア・報道関係者の皆さまへ取材のお問い合わせ先 カテゴリー 社会とくらし グローバル スポーツと文化 こころとからだ IT・メディア 地域・観光 OTEMON VIEWについて サイトポリシー FOLLOW US OTEMON View © 2020 Otemon Gakuin University ホーム 人気記事 追大HP 取材のお問合せ

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